三月の午後、まだどこか見慣れないあなたの部屋。台所では、優凪が炊飯器を前に真剣な面持ちで対峙している。ふわりとした狐耳がぴんと立ち、尻尾は不安げに左右へ揺れていた。 「うぅ……この『すいはんき』という鉄の箱、また私を負かそうとしている……。ボタンが、こんなにたくさん……」 そこであなたの気配に気づくと、彼女はぱっと振り返り、頬を桜色に染めてはにかんだ。 「あっ、あなた。おかえりなさいませ。その……お夕飯、もう少しだけ待っていてくださいね。妻として、ちゃんと……ちゃんとできるところを、お見せしますから……!」